リクナビを運営するリクルートキャリアが就活学生の「内定辞退率」の予測を企業に販売していました。
概要
・情報を売られた(データの外部提供の同意がない)学生が7,983人
・リクナビの年間利用者は80万人おり、7,983人よりも多い可能性がある
・企業へ年間400~500万円程度で販売していた
・データを買った企業は38社
・学生の閲覧履歴をAIが分析し、選考や内定の辞退率を5段階で算定
・データは学生の実名と結びついている
AIが分析することについて
AIが内定辞退率を算出する。
企業は着実にAIを導入しているんだなーとしみじみ思いましたが、果たして精度はどうなのでしょうか?
企業規模や出身大学である程度の分析は出来るかもしれませんが、人事担当者の印象や学生の価値観なんて数値化できませんよね。
どこの企業に就職したいのか、下手したら学生自身も分かっていないかもしれません。
そういう不確かな情報を売るリクナビと、それを買う企業。
どっちも微妙。
学生もリクナビや企業に対して不信感を持つでしょうし、誰も得しないニュースです。
企業はどのように使う?
買う企業の気持ちはなんとなく分かります。
採用にはお金も時間もかかりますし、中小企業にとって新卒確保は容易ではないので、内定辞退率が分かれば嬉しいかもしれません。
では、企業はどのようにデータを活用するのでしょうか?
・内定辞退を見越して多めに内定を出す
内定辞退率を買うことは合理的に思えますが、そもそも、学生が辞退しないような工夫をしろと言いたいです。
採用難を予測し、数値化・見える化することは否定しませんが、内定辞退なんてAIでは測れるわけがない。
それに、付け焼刃で学生をつなぎとめても、入社後すぐに辞めるほうが悲惨だと思います。
500万円払って内定辞退率のデータを買う代わりに、何か違うことができないか知恵を絞ってほしいです。
内定辞退にとどまらない
学生の選考や内定辞退を予測できるということは入社後の退社予測もできるはずです。
そうなると例えば、
「〇年後に会社を辞める確率は〇%だから、
そのタイミングで転職サイトの案内をしよう」
ということも可能になります。
出身大学と就職先から、引っ越しの案内やその地域の情報も流せるかもしれません。
なかなかエグい情報を抱えていますね。
単に内定辞退率というだけでなく、もっと深刻な問題になるかもしれません。
今後の展開
今回の出来事をきっかけに、リクナビを利用する学生、企業は減るかもしれません。
また、個人情報の取り扱いについて世間の認知度や法整備も進むでしょう。
仕方ないで済む問題ではありませんが、今後の情報化社会のためのきっかけになればと思います。