ラーメン屋でビールを飲む男

18時。今週もようやく終わった。死語になっているが華金はやはり格別だ。オフィスを出て駅と反対方向に向かって歩く。真っすぐ家に帰らない。なぜなら金曜日は自炊ではなく外食をするのが俺のルールだから。でもこんなことが許されるのも今のうちだけだろう、予定日はまだ先だが、彼女と結婚して同居したらこういう時間もなくなるのだろうな。

目的地についた。店に入り食券を買う。外食と言っても俺が食べるのはラーメンだ。厳密にはつけ麺。生きてても全く楽しくない俺にとって、週1回のつけ麺が心の支えだ。こんなこと妻には口が裂けても言えないが。

券売機に千円札を2枚入れる。つけ麺の食券を押し、続けて瓶ビールのボタンを押す。瓶ビールを置いてるラーメン屋は貴重だ。しかも中瓶で600円。色々なものが値上げしているこの時代に中瓶600円は良心的ではないだろうか?缶ビール350mlを500円で提供するラーメン屋もある。カイジかよ。

ラーメン屋で提供されるビールの価格だが、俺の許容範囲は600円だ。そこは瓶ビールだろうが生中でも変わらない。生ビール1杯700円のラーメン屋があるが、さすがに高い。野球場かよ。650円でも微妙。アラフォーの俺の感覚からすると「昔は650円でラーメン1杯食べれたよ」と言いたくなる。そんなことを言うと「600円でも食べられた」「いやいや、ワンコインのラーメン屋だって…」とマウントおじさんがわきそうなのでここでやめておく。今の時勢の話をしているのだ。

10年前なら俺の許容値は500円だった。1杯450円とか、安いと300円台で出してる店もけっこうあったし。まぁ今の時代はしゃあない。600円でいいよ。

そんなことを考えながらビールをチビチビ飲む。つけ麺は茹で時間が長く締める時間もあるので提供まで時間がかかる。料理を待つ間に飲む瓶ビール。悪くない。